掲示板やブログ、交流サイトには、相互でコミュニケーションが取れることで、誘い出し等の犯罪被害が発生する本質的な危険性があると指摘されています。そこで携帯電話事業者側では、コミュニケーション機能を備えたサイト全般を、フィルタリングの対象と定めています。
一方、こうしたリスクを抑制するために、コミュニケーションサイトの一部では、投稿内容の監視を充実させるという対策がされるようになっています。しかし、多くの誘い出し事案は、監視だけでは防げず、サイト内メール機能の抑制など、複数の施策を効果的に組み合わせることが必要との見方が、事業者・監督官庁の双方で共有されています。
実際のところ、こうしたコミュニケーションサイトを、青少年が携帯電話から盛んに利用するようになったのは、2006年以降と考えられますが、どのような点に着目して、サイト側の安全への配慮を判断するべきかについては、具体的な議論が社会的にほとんど蓄積されていない状態でした。 そうした背景から、ネットスターでは学識経験者と保護者、教員で構成される専門家会議「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」を、ヤフー株式会社と共同で2008年に設立しました。掲示板などのコミュニケーションサイトの利用を含む、さまざまな課題の調査研究および整理、提言を行っています。
同研究会の提言の中には、「双方向利用型サイトの利用リスク評価モデル」があり、そこでは、サイト運営事業者側に求める青少年の安全な利用への配慮として、投稿などを監視することを徹底するよりも前に、ダイレクトコンタクトを防ぐための、関連機能の実装の有無等に着目した対策を挙げています。
ネットスターでは、こうした最新の知見を参考に、フィルタリングリストの新しい基準づくりにも取組み、コミュニケーション機能を持つサイトを一律に分類するのではなく、青少年の安全な利用への配慮の程度によって、複数段階へと細分化するといった、先進的な取組みを行っている他、関連事業者や利用者向けの情報提供にも取り組んでいます。